望郷太郎 感想(2巻まで)


へうげものの作者の新作らしい。
へうげものは、読んだ当時難しく感じられ1巻で読むのをやめた(戦国時代についてある程度知識ないと楽しめない、とその時は感じた)。
今作は終末ものなんで、歴史的な背景とか別に知らなくても十分楽しめる。
2巻刊行で読み返したついでに感想を書く。

■どんな話?
2025年、突如大寒波が世界中を襲う。
生き残るためコールドスリープを選んだ主人公だったが、目覚めたら500年の時が過ぎていた。
どうやら大寒波は氷河期の前触れで、以前の文明は全て滅んでしまったらしい。
家族の中で唯一生き残った主人公は、この過酷な世界で生き残り、故郷に帰ることを決める。

■雑感
以前の文明は滅んだが、人類はいまだ健在。
石器時代まで逆戻りした今の人類の中で現代人がどう生きるのか、というのが見所。
価値観の違いとか、文化の違いとどう折り合いをつけるのか。

主人公は、前時代の知識を生かして、知識無双的なことはしない。
自殺島みたいに、サバイバルの能力に異様に長けてたりもしない。
今の人類と一緒に過ごし、生き方を学んでいく。


面白いのは、世界は案外豊かで、無欲であれば、生き残るのにさして苦労は無いという描写。
2巻からはこの「欲」に対する描写が増える。
奴隷制度に戦争、人類は同じことを繰り返している。
なんだか妙にリアルで目が離せない。

この作品の魅力は人物描写の丁寧さにもある。
主人公は、利己的な冷血漢然としているが、その実あったけぇ奴。
周りのやつらもそれぞれ必死に生きてる。
そんな彼らの描写は一つ一つが丁寧で、とても面白い。

もし、地球に氷河期が訪れたら?という視点でも、単にヒューマンドラマとしても楽しめる良い作品だと思います。



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